2026年9月08日

― 糖尿病と認知症を支える、地域の「多職種連携」―
2026年9月5日、東京都健康長寿医療センターで開催された「第8回いたばし糖尿病多職種ネットワークの会」に参加しました。
この会は、板橋区内で医療・介護・福祉に携わる多職種が集まり、糖尿病をきっかけに情報共有や連携を深め、地域での健康維持活動につなげていくことを目的とした勉強会です。
今回の対象は、医師、看護師、薬剤師、歯科医師、管理栄養士、理学療法士、心理士、ケアマネジャーなど、地域で患者さんの生活を支えるさまざまな専門職。
歯科医師として参加し、改めて感じたのは、糖尿病の治療は「血糖値を下げること」だけでは完結しないということでした。
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糖尿病と認知症を考える
今回のセッション1では、
「糖尿病と認知症 認知症を伴った高齢糖尿病患者のケア」
をテーマに講演が行われました。
高齢になると、糖尿病だけでなく、認知機能の低下、フレイル、低栄養、サルコペニア、摂食嚥下機能の低下など、さまざまな問題が重なってきます。
糖尿病の治療では、食事療法や運動療法、薬物療法などが重要になります。
しかし、認知症を伴う患者さんの場合、
「薬をきちんと飲めているだろうか」
「食事の管理ができているだろうか」
「低血糖の症状を自分で訴えられるだろうか」
「一人で安全に生活できているだろうか」
といった、生活そのものに関わる視点が必要になります。
つまり、検査データだけを見ていても、その人の暮らしを支えることはできません。
患者さんがどこで、誰と、どのように生活しているのか。
そこまで含めて考えることが、これからの高齢者医療ではますます重要になるのだと感じました。
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「食べる」を支える歯科の役割
ここで、歯科にも大きな役割があります。
糖尿病と歯科というと、まず思い浮かぶのが「歯周病」ではないでしょうか。
糖尿病と歯周病には深い関係があり、糖尿病のある方では歯周病のリスクが高くなることが知られています。
一方で、高齢者の糖尿病を考えるときには、それだけではありません。
私たちが特に大切にしたいのが、
「その人が、安全に、必要な栄養をとりながら、食べ続けられているか」
という視点です。
歯が痛い。
入れ歯が合わない。
噛みにくい。
口が乾く。
食べる量が減ってきた。
むせるようになった。
食事に時間がかかる。
こうした変化は、患者さんの栄養状態や生活の質に大きく影響します。
そして、糖尿病の食事療法を考えるうえでも、「何を食べるか」だけでなく、「実際に口から食べられているか」を確認することが重要です。
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「食事制限」だけではなく「食べられる口」をつくる
糖尿病では、食事についてさまざまな指導が行われます。
しかし、高齢の患者さんでは、単純に「食べる量を減らしましょう」「糖質を控えましょう」とするだけでは十分ではありません。
もともと食事量が少ない方に過度な制限をすると、低栄養につながってしまう可能性があります。
特に高齢者では、糖尿病に加えてフレイルやサルコペニアが進行すると、筋力や体力が低下し、転倒や要介護状態につながることがあります。
そのため、
「血糖コントロール」と「必要な栄養を確保すること」
の両方を考える必要があります。
そして、その入り口となるのが「口」です。
しっかり噛める。
飲み込める。
むせずに食べられる。
十分な量を食べられる。
食事を楽しめる。
歯科が関わることで、こうした部分を支えることができます。
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今回のワークショップで感じた「多職種」の力
セッション2では、実際の症例を題材にしたワークショップが行われました。
テーマは、
「認知症で血糖コントロール・セルフケア不足の症例」
です。
多職種でグループをつくり、症例について話し合い、意見を出し合いました。
同じ患者さんを見ていても、職種によって着目するポイントが違います。
医師であれば病態や治療方針。
看護師であれば日々の生活やセルフケア。
薬剤師であれば服薬状況や薬の管理。
管理栄養士であれば食事内容や栄養状態。
理学療法士であれば身体機能や活動量。
ケアマネジャーであれば生活環境や介護サービス。
そして歯科医師であれば、口腔内の状態、咀嚼、義歯、口腔衛生、摂食嚥下など。
一人の患者さんを、それぞれの専門職が違う角度から見ることで、ひとりでは気づけなかった問題が見えてきます。
これこそが、多職種連携の大きな意味だと思います。
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歯科から見える「小さな変化」
訪問歯科の現場では、患者さんのお宅や施設で診療することがあります。
そこで私たちが目にするのは、診察室では見えない患者さんの日常です。
以前より食事量が減った。
最近、食事に時間がかかる。
入れ歯を使わなくなった。
水分でむせるようになった。
口の中に食べ物が残る。
以前より元気がない。
こうした変化は、口腔内だけの問題ではないかもしれません。
認知機能の変化や体力の低下、低栄養、脱水、全身状態の変化が背景にある可能性もあります。
だからこそ、歯科だけで判断するのではなく、
「最近、食事はどうですか?」
「体重は変わっていませんか?」
「薬はきちんと飲めていますか?」
「普段の生活で困っていることはありませんか?」
と、多職種で情報をつなぐことが大切です。
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地域で患者さんを支えるために
今回の勉強会に参加して、改めて感じたのは、地域医療は一つの医療機関、一つの職種だけでは成り立たないということです。
糖尿病の患者さんを支える中には、医療だけでなく、食事、運動、服薬、認知機能、家族、介護、住環境など、さまざまな要素があります。
そして、その中に「口腔」と「食べる」という視点があります。
歯科は、歯を治すだけの場所ではありません。
「食べる」という行為を通して、栄養や身体機能、生活の質、そしてその人らしい暮らしを支えることができます。
特に高齢者では、「病気を治す」だけではなく、「その人がその人らしく生活できること」が医療の大きな目標になります。
そのためには、それぞれの専門職が自分の専門性を発揮しながら、必要なときには他職種につないでいくことが重要です。
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「顔の見える連携」を大切に
今回のような地域の勉強会には、知識を得るという目的だけではなく、もう一つ大切な意味があります。
それは、「顔の見える関係」をつくることです。
困ったときに、
「この患者さんについて、少し相談してみよう」
と思える相手がいる。
電話やメールだけではなく、実際に顔を合わせて話したことがある。
その積み重ねが、地域の連携を強くしていくのだと思います。
患者さんから見れば、「医師」「看護師」「薬剤師」「歯科医師」「ケアマネジャー」と別々に見える専門職も、地域の中では一つのチームとして患者さんを支えることができます。
そのためには、私たち自身が職種の壁を越えて、お互いの専門性を知ることが大切です。
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「食べる」を入り口に、地域医療につながる
今回、「いたばし糖尿病多職種ネットワークの会」に参加し、歯科医療が地域医療の中で果たせる役割について、改めて考える機会となりました。
糖尿病と歯周病。
糖尿病と認知症。
糖尿病と低栄養。
そして、糖尿病と「食べること」。
一見すると別々の問題に見えても、実際の患者さんの生活の中では、すべてがつながっています。
だからこそ、私たちは「歯だけ」を見るのではなく、その先にある食事、栄養、生活、そして人生まで見つめる歯科医療を大切にしたいと考えています。
「最近、食べにくくなった」
「入れ歯が合わない」
「むせることが増えた」
「食事量が減ってきた」
そんな小さな変化が、実は大きな変化のサインかもしれません。
そして、その変化に気づいたときに、歯科から医師や看護師、管理栄養士、リハビリ職、ケアマネジャーなどへつなぐ。
そのような地域の「橋渡し役」として、歯科がもっと活躍できるのではないかと思います。
今回の学びを、日々の外来診療や訪問歯科診療、そして地域の多職種との連携に生かしながら、これからも患者さんの「食べる」と「暮らす」を支えていきたいと思います。
ごはんがたのしみな毎日を、あなたと。
そんな日々を支えるために、歯科からできることを一つずつ積み重ねていきます。
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「ごはんがたのしみ」な毎日を、あなたと。
たのしみ歯科では、ご自宅・施設への訪問歯科診療に対応しています。
まずはお気軽にご相談ください。
「食べるを支える仲間、募集中。」
歯科医師・歯科衛生士の採用も行っています。
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訪問診療 080-4470-6052
外来診療 03-6904-3650
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