介護施設との連携
介護施設との連携

高齢者施設や病院では、入居者や入院患者さまが安全に、そして快適に食事を摂れる環境づくりが非常に重要です。特に、高齢者や嚥下機能が低下している方では、誤嚥や窒息のリスクが高く、食事中の安全管理は日々の生活の質に直結します。そこで注目されているのが、ミールラウンドという取り組みです。
ミールラウンドとは、介護施設や病院で、食事中の様子を多職種のスタッフが観察し、利用者それぞれに合わせた安全で食べやすい食事環境を整える活動です。単に食事を提供するだけでなく、咀嚼や嚥下の状態、食事姿勢、介助の方法などを総合的に確認することで、食事中のトラブルを防ぎ、栄養摂取の改善や生活の質向上につなげることを目的としています。
ミールラウンドでは、施設や病院に勤務するさまざまな職種が協力して行います。例えば、管理栄養士、看護師、介護スタッフ、歯科医師・歯科衛生士、リハビリスタッフなどです。多職種が連携することで、次のような視点から利用者の食事を評価できます。
このように、さまざまな専門家が情報を持ち寄ることで、利用者一人ひとりに最適な食事環境が整えられます。
施設でのミールラウンドでは、以下のような活動が行われます。
1.むせ・飲み込みの様子や
咀嚼状態の確認
利用者が食事中にむせたり、飲み込みがスムーズでない場合には、その原因やリスクを分析します。また、咀嚼に時間がかかる場合は、歯の状態や噛む力、嚥下機能を評価し、必要に応じた対応策を検討します。
2.食事形態の見直し
利用者に合わせた食事形態の調整も重要です。普通食が難しい方には、刻み食やミキサー食、ソフト食などに変更することで、栄養摂取を維持しつつ、安全に食事ができる環境を作ります。
3.食事姿勢・介助方法の改善提案
正しい姿勢で食事をすることは、嚥下機能の改善や誤嚥予防に直結します。椅子の高さや背もたれの角度、テーブル位置の調整、食事介助の方法などを多職種で確認し、必要な改善を提案します。
4.施設スタッフへの
フィードバック・助言
観察結果や改善点を、施設スタッフにフィードバックします。日々の介助や食事提供の方法を改善することで、安全で快適な食事環境を継続的に維持することが可能です。
施設でのミールラウンドを実施することで、次のような効果が期待されます。
1.誤嚥や窒息の予防
むせや咀嚼の異常を早期に発見し、食事形態や姿勢、介助方法を調整することで、誤嚥や窒息のリスクを大幅に低減できます。
2.栄養状態の維持・改善
安全に食事ができる環境を整えることで、食欲が向上し、十分な栄養摂取が可能になります。栄養状態の改善は、免疫力の向上や体力回復にもつながります。
3.食事満足度の向上
食べやすさや味わい、介助の質が向上することで、利用者の食事満足度も高まります。食事が楽しい時間になることで、心理的な満足感も得られます。
高齢者施設や病院では、嚥下機能の低下や口腔内トラブルにより、栄養摂取が困難になることがあります。ミールラウンドは、こうしたリスクを予防するために欠かせない取り組みです。また、多職種が協力することで、個々の利用者に合わせた安全な食事提供が可能になり、施設全体のケアの質を向上させます。
ミールラウンドは、介護施設や病院における安全で快適な食事環境づくりの要です。
これにより、誤嚥や窒息の予防、栄養状態の改善、食事満足度の向上が期待できます。入居者や患者さまが安心して食事を楽しめる環境を整えることは、生活の質向上にも直結する大切な取り組みです。
Page Top