病院での医科歯科連携
病院での医科歯科連携

入院中の患者さまにとって、病気や手術の回復は体力や栄養状態と密接に関わっています。体調が思わしくないと、十分に栄養を摂取できず、回復が遅れることも少なくありません。そこで重要になるのが、NST(Nutrition Support Team:栄養サポートチーム)です。NSTは、医師や看護師、薬剤師、管理栄養士、歯科医師、リハビリスタッフなど、多職種が協力して入院患者さまの栄養管理を行うチームで、健康回復や合併症の予防に大きな役割を果たします。
NSTは、入院患者さまの栄養状態を総合的に評価し、改善することを目的としたチームです。病気や手術により食事が摂れない、嚥下や咀嚼に問題がある、体力が低下しているといった状況では、適切な栄養摂取が回復の鍵となります。
NSTでは、次のような多職種が連携してサポートを行います。
このように、患者さまを多角的にサポートすることで、単に栄養を補うだけでなく、回復を促す環境を整えます。NSTは入院患者さまの健康維持・回復の「縁の下の力持ち」ともいえる存在です。
当院では、NSTが中心となり、口腔内の健康と食事の安全をサポートしています。具体的には次のような活動を行っています。
1.口腔内の診察・口腔ケア
入院中は口腔内の清潔を保つことが難しくなりがちです。歯や歯ぐきの状態を定期的に診察し、清掃やケアを行うことで、口腔内の細菌を減らし感染症のリスクを低下させます。
2.嚥下(飲み込み)や咀嚼機能の評価
病気や手術後は、飲み込みや噛む力が低下することがあります。歯科医師やリハビリスタッフが評価を行い、安全に食事が摂れるか、必要に応じて食形態の調整や嚥下リハビリを提案します。
3.食事姿勢・食形態の提案
栄養をしっかり摂るためには、食事の内容だけでなく、姿勢や食べやすさも重要です。NSTでは、ベッド上での姿勢やスプーン・フォークの使い方、咀嚼しやすい食材や形態の提案も行います。
4.嚥下リハビリの実施
必要に応じて、リハビリスタッフによる嚥下リハビリを行います。飲み込みの練習や口腔周囲の筋肉トレーニングを行うことで、誤嚥を予防し、安全に食事ができる環境を整えます。
NSTが適切に機能することで、入院患者さまにはさまざまな効果が期待できます。
1.栄養摂取量の改善
栄養計画や食形態の調整により、十分な栄養を摂取できるようになります。体力や免疫力の低下を防ぎ、病気や手術からの回復を早めることが可能です。
2.誤嚥性肺炎の予防
嚥下機能の評価や嚥下リハビリ、口腔ケアを組み合わせることで、誤嚥性肺炎のリスクを減らせます。特に高齢者や手術後の患者さまにとって、肺炎予防は重要な課題です。
3.早期回復と入院期間の短縮
十分な栄養と口腔管理により、回復が早まることがあります。これにより、入院期間を短縮でき、患者さまの生活の質を向上させることができます。
周術期口腔ケアは、手術の前後に行う口腔ケアのことを指します。目的は、手術に伴う合併症を防ぎ、回復をスムーズにすることです。特に感染症や肺炎、創部の炎症などを予防するために重要な役割を果たします。
周術期口腔ケアを適切に行うことで、以下の効果が期待されます。
当院では、NSTが中心となり、以下のような取り組みを行っています。
これらの取り組みにより、患者さま一人ひとりに最適な栄養サポートが提供されています。
NSTの活動をより効果的にするためには、ご家族の協力も重要です。
ご家族と医療スタッフが連携することで、患者さまの回復を最大限にサポートできます。
NSTは、単なる栄養管理のチームではなく、入院患者さまの回復と生活の質を支える多職種チームです。
当院では、NSTを中心に患者さまの栄養と口腔の健康を総合的にサポートし、安心して治療・回復に取り組める環境を整えています。
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