2026年6月09日

たのしみ歯科では、「食べることを最後まで支えたい」という思いを大切にしています。
その中で、私たちを支えてくれている大切な“なかま”のひとつが、「嚥下内視鏡(VE)」です。
「VEってなに?」
「カメラを入れる検査って苦しくないの?」
「どんな時に使うの?」
今回は、たのしみ歯科で活躍している嚥下内視鏡について、やわらかくご紹介したいと思います。
「最近むせる」がサインかもしれません
年齢を重ねると、食べる力や飲み込む力は少しずつ変化していきます。
・お茶でむせる
・薬が飲みにくい
・食事に時間がかかる
・食後に痰が増える
・声がガラガラする
・食べる量が減った
こうした変化は、「歳のせいかな」で終わってしまうことも少なくありません。
ですが、その背景には「嚥下機能(飲み込む力)」の低下が隠れていることがあります。
飲み込む力が弱くなると、本来は食道に入るはずの食べ物や水分が、誤って気管に入ってしまうことがあります。これを「誤嚥(ごえん)」といいます。
誤嚥が続くと、誤嚥性肺炎や低栄養、脱水につながることもあります。
一方で、早めに状態を知り、その人に合った食べ方や姿勢、食形態を工夫することで、安全に「食べる」を続けられる方もたくさんいます。
そのために大切なのが、“今どんな飲み込みをしているか”を知ることです。
VEは「飲み込みを見るカメラ」です
嚥下内視鏡検査(VE)は、細い内視鏡カメラを鼻から入れ、のどの動きや飲み込みの様子を観察する検査です。
「カメラ」と聞くと少し怖く感じるかもしれません。
ですが、実際のVEはとても細いカメラを使い、体への負担も比較的少ない検査です。
たのしみ歯科では、患者さんの表情や反応を見ながら、できるだけ安心して受けていただけるように心がけています。
検査では、
・飲み込むタイミング
・食べ物がどこに残るか
・むせる前に何が起きているか
・唾液が気道に入っていないか
・どんな食べ物なら安全か
などを実際に確認することができます。
「なんとなく食べづらい」ではなく、目で見て状態を把握できることがVEの大きな特徴です。
ご自宅や施設でも行えます
たのしみ歯科では、訪問診療の中でもVEを行っています。
病院に行くことが難しい方でも、ご自宅や施設で普段の食事環境のまま検査ができるのは、大きなメリットです。
実際の食卓で、いつもの椅子に座り、普段使っているスプーンや食器で食べていただく。
その中で、
「この姿勢だと飲み込みやすい」
「一口量を減らすと安全」
「少しとろみをつけるとむせにくい」
など、その人に合った工夫を見つけていきます。
病院の検査室では分からない、“暮らしの中の食べる”が見えるのも、訪問VEの大切なところです。
「食べられない」ではなく、「どうしたら食べられるか」
VEをしていると、「もう食べられないと思っていた」という方に出会うことがあります。
むせが増え、食事が怖くなり、ご家族も「食べさせて大丈夫なのかな」と不安になる。
そんな中で、「もう無理かもしれない」と言われてしまうこともあります。
ですが、実際には、
・姿勢を少し変える
・食事形態を調整する
・食べるペースを見直す
・口腔ケアをしっかり行う
・飲み込む力をリハビリする
といった工夫で、安全に食べられるようになる方も少なくありません。
もちろん、病気の進行や全身状態によって、難しい場面もあります。
それでも私たちは、「できない理由」を探すだけではなく、「どうしたらその人らしく食べられるか」を大切にしたいと思っています。
VEは、そのための大切なヒントを与えてくれる機材です。
多職種で「食べる」を支えます
VEは、歯科医師だけで完結するものではありません。
たのしみ歯科では、医師、看護師、言語聴覚士、歯科衛生士、管理栄養士、ケアマネジャー、介護職など、多くの職種と連携しながら食支援を行っています。
VEで見えた情報を共有することで、
・どんな食事が安全か
・どんな介助方法がよいか
・口腔ケアで気をつける点
・栄養の取り方
・リハビリの方向性
などを、みんなで考えることができます。
「食べる」は、単なる栄養補給ではありません。
好きなものを味わうこと。
家族と食卓を囲むこと。
季節を感じること。
「おいしいね」と笑うこと。
その人らしい暮らしそのものです。
だからこそ、私たちは“口だけ”ではなく、“生活全体”を見ながら支えていきたいと思っています。
小さな変化を見逃さないために
VEをしていると、「もっと早く相談すればよかった」という声をいただくことがあります。
むせる。
食べるのが遅くなった。
痩せてきた。
食事中に疲れる。
そんな小さな変化が、実は大切なサインであることもあります。
特に高齢の方は、「食べにくい」と自分から言わないことも少なくありません。
だからこそ、ご本人だけでなく、ご家族や周囲の気づきがとても大切です。
たのしみ歯科では、「まだ大丈夫かな?」という段階でも相談していただけるような存在でありたいと思っています。
機械ではなく、「人」を見るために
VEはとても便利な機材です。
ですが、私たちが本当に見ているのは、画面の中ののどだけではありません。
「この方は何を食べたいんだろう」
「どんな時間を大切にしてきたんだろう」
「最後まで口から食べたいという思いに、どう寄り添えるだろう」
そんなことを考えながら、検査をしています。
お寿司が好きな方。
甘いものが楽しみな方。
家族と同じご飯を食べたい方。
“食べる”には、その人の人生が詰まっています。
だからこそ私たちは、単に「誤嚥しているか」を見るだけではなく、その人らしい食事や暮らしを支えるためにVEを活用しています。
「食べる楽しみ」をこれからも
たのしみ歯科には、いろいろな機材があります。
その中でもVEは、「食べる楽しみ」を支えるための、とても大切な存在です。
食べることに不安が出てきた時。
むせが増えてきた時。
「このまま食べて大丈夫かな」と迷った時。
私たちは、患者さんやご家族と一緒に考えていきたいと思っています。
最後まで、その人らしく。
少しでも「おいしい」が続くように。
これからも、VEという心強いなかまとともに、地域の“食べる”を支えていきます。
