2026年1月31日
― 簡易的な嚥下評価(スクリーニングテスト)について ―
「最近むせることが増えた」
「食事に時間がかかるようになった」
「食後に声がガラガラする」
こうした変化は、飲み込みの機能(嚥下機能)が低下しているサインかもしれません。嚥下障害は高齢者だけでなく、脳血管疾患、神経疾患、がん治療後など、さまざまな背景で起こります。そして、嚥下機能の低下は誤嚥性肺炎や低栄養につながる可能性があるため、早期に気づき、適切に評価することがとても大切です。
今回は、医療現場や介護現場、さらにはご家庭でも参考になる「簡易的な嚥下評価(スクリーニングテスト)」についてご紹介します。
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嚥下評価には「スクリーニング」と「精密検査」がある
嚥下機能の評価には、大きく分けて二つの段階があります。
一つ目は「スクリーニング検査」です。
これは、嚥下障害の可能性があるかどうかを簡単に確認するための評価です。
二つ目は「精密検査」です。
嚥下内視鏡検査(VE)や嚥下造影検査(VF)など、専門的な機器を使用して詳細に評価します。
スクリーニング検査は、「異常の可能性に気づく」ことが目的です。早期発見につながる非常に重要なステップとなります。
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まずは観察から始まる嚥下評価
嚥下機能を評価する際、特別な道具がなくても確認できるポイントがあります。
以下のような変化は注意が必要です。
・食事中によくむせる
・飲み込みに時間がかかる
・食事量が減ってきた
・口の中に食べ物が残る
・食後に痰が増える
・声が濁る(ガラガラ声)
・原因不明の発熱や肺炎を繰り返す
・体重が減ってきた
これらは嚥下障害の初期サインであることが少なくありません。
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代表的なスクリーニングテスト①
反復唾液嚥下テスト(RSST)
RSSTは、簡便で安全性が高く、医療・介護現場でも広く活用されている評価方法です。
方法
対象者に「できるだけ普段通りに唾を飲み込んでください」と説明します。
30秒間で何回飲み込めるかを確認します。
評価の目安
30秒間に3回未満の場合、嚥下機能低下の可能性があるとされています。
この検査は水や食べ物を使用しないため、誤嚥のリスクが少ない点が特徴です。また、ベッド上でも実施できるため、在宅医療の現場でも活用されています。
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代表的なスクリーニングテスト②
改訂水飲みテスト(MWST)
水を使って実際の飲み込みの状態を確認する方法です。
方法
少量の水(一般的には3ml程度)を口に含み、飲み込んでもらいます。その後、むせの有無や声の変化などを観察します。
観察ポイント
・むせが起きないか
・飲み込むまでに時間がかかっていないか
・飲み込んだ後に声が濁らないか
・口腔内に水が残っていないか
水は誤嚥すると気道に入りやすいため、必ず医療職の管理下で行うことが望ましい検査です。
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代表的なスクリーニングテスト③
フードテスト
実際の食品を用いて嚥下状態を確認する方法です。ゼリーなど、安全性が比較的高い食品を使用します。
観察ポイント
・口の中で食べ物をまとめられているか
・飲み込むまでの時間
・飲み込んだ後のむせ
・口腔内残留の有無
フードテストは、実際の食事場面に近い評価ができるため、食事形態を検討する際に有用です。
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スクリーニングで大切なのは「結果」より「変化」
スクリーニングテストは、一度の結果だけで判断するものではありません。
例えば、RSSTで3回以上できた場合でも、
・以前より回数が減っている
・食事中の疲労が増えている
・体調によって結果が変わる
といった変化がある場合には注意が必要です。
嚥下機能は、体調、姿勢、覚醒状態、口腔環境など、さまざまな要因に影響を受けます。継続的な観察が非常に重要になります。
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自宅や介護現場でできる「気づき」のポイント
専門的な検査が難しい場合でも、日常生活の中で確認できるポイントがあります。
・食事時間が極端に長くなっていないか
・食事中に疲れていないか
・食後に咳や痰が増えていないか
・好んで食べる物が変わっていないか
・水分を避けるようになっていないか
こうした変化は、嚥下機能低下のサインであることがあります。
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嚥下障害は「早期対応」が重要
嚥下障害は、適切なリハビリや食事形態の調整、口腔ケアによって改善や維持が期待できる場合があります。
一方で、気づかずに放置してしまうと、
・誤嚥性肺炎
・低栄養
・脱水
・食べる楽しみの喪失
につながる可能性があります。
そのため、「少し気になる」という段階で専門職へ相談することが非常に重要です。
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専門的な評価につなげることがゴール
スクリーニングテストはあくまで入口です。異常が疑われた場合には、歯科医師や医師による評価、嚥下内視鏡検査などの精密検査につなげることが必要になります。
専門的な評価を行うことで、
・安全に食べられる食事形態
・適切な姿勢
・嚥下リハビリの方法
・口腔ケアの内容
などを具体的に検討することができます。
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「食べる」を支えるために
食事は栄養補給だけでなく、生活の楽しみであり、人生の質に大きく関わります。だからこそ、飲み込みの機能を守ることは、生活そのものを守ることにつながります。
嚥下障害は突然起こるものではなく、多くの場合は小さな変化から始まります。その変化に早く気づき、適切な支援につなげることが、最後まで「口から食べる」ことを支える第一歩になります。
気になる症状がある場合は、かかりつけ医や歯科医師、訪問歯科、リハビリ職などへお気軽にご相談ください。私たちは、皆さまが安心して食事を楽しめる生活を支えていきたいと考えています。