2025年12月23日
たのしみ歯科では、地域の医療・介護事業所との連携を大切にしながら、
「食べること」「生活すること」を支える歯科医療を実践しています。
口腔連携強化加算は、2024年度介護報酬改定で新設された加算です。
訪問看護・訪問介護などの介護事業所が、利用者さんの口腔状態を評価し、その情報を歯科医療機関やケアマネジャーと共有することで、口腔ケアの質を高めることを目的としています。
1人につき月1回・50単位を算定することができ、
介護現場と歯科医療の連携を強化するための制度です。
一見すると歯科とは直接関係がないように思われがちですが、実はこの制度は、在宅・施設で暮らす高齢者の口腔管理において、歯科が本来の専門性を発揮するための重要な仕組みだと私たちは考えています。
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①「気づき」を歯科につなげる制度
在宅や施設で生活する高齢者の口腔トラブルは、
むし歯や歯周病よりも、
• 口腔清掃不良
• 義歯の不適合
• 嚥下機能の低下
といった、食事や生活機能に直結する問題が中心です。
しかしこれらは、「歯が痛い」といった分かりやすい症状になりにくく、
歯科につながらないまま見過ごされてきたケースも少なくありません。
口腔連携強化加算は、
介護職が日常ケアの中で口腔の変化に気づき、その情報を歯科へ届けるための制度です。
歯科にとっては、これまで届きにくかった「初期サイン」が入ってくる入口になります。
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② 歯科の専門性が活きるタイミングを早める
こうした初期サインが見逃されてしまうと、
「食事がうまくとれない状態」が長く続き、
• 誤嚥性肺炎
• 低栄養
• それらに伴う全身状態の悪化
といった、より重い問題につながってしまいます。
介護側から定期的に口腔状態の情報が共有されることで、歯科は
• 今すぐ診るべきか
• 経過観察でよいか
といった専門的判断を早期に行うことが可能になります。
問題が大きくなってからでは、治療の選択肢が限られ、治療期間も長くなってしまいます。
日常の食事の影響を大きく受ける高齢者だからこそ、
歯科医療を「治療中心」から「予防・管理中心」へシフトさせることが重要です。
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③ 訪問歯科・口腔管理への自然な導線
口腔連携強化加算は、
訪問歯科診療や口腔機能管理への自然な導線としても機能します。
介護現場での評価
→ 情報共有
→ 歯科介入
という流れが定着することで、
「状態が悪くなってから呼ばれる歯科」ではなく、
日常的に関わる歯科として地域の中に位置づけられていきます。
たのしみ歯科では、歯科医療を通じて「生活を支える医療」を目指しています。
そのためには、日常の些細な変化に気づける環境づくりと、地域の事業所との連携基盤が欠かせません。
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④ 多職種連携の中での歯科の役割を明確にする
これまで多職種連携の場では、
「歯科は何をしてくれるのか」が見えにくいこともありました。
口腔連携強化加算を通じて、たのしみ歯科が取り組んでいる
• 口腔状態・嚥下の専門的評価
• 口腔ケア方法の助言
• 義歯や食事形態に関する提案
といった役割を、地域の中で明確にしていきたいと考えています。
そして、食事や口腔に関して
「まず相談される歯科」
「頼られる存在」になることを目指しています。
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⑤ 歯科医院にとっての本質的な価値
口腔連携強化加算そのものは、歯科が算定する加算ではありません。
しかし、
• 早期に歯科介入につなげ、最期まで自分の口から食べること
• そのためのサポート体制を整えること
• 地域の事業所と信頼関係を築き、共に支えていくこと
を実現するという点で、たのしみ歯科の将来像に直結する制度だと考えています。
制度そのものも、
歯科がどう関わるかで価値が決まると言えるでしょう。
この制度をしっかり活用し、
誤嚥性肺炎の予防や低栄養の防止を通じて、
在宅高齢者の健康寿命の延伸に貢献していきたいと考えています。