2026年1月19日
たのしみ歯科は、このたび厚生労働省の定める「在宅療養支援歯科診療所」の施設基準を満たし、正式に認定されました。
少し堅い名前ですが、意味はとてもシンプルです。
「通院が難しくなった方の自宅や施設に歯科医療を届け、地域の医療・介護と連携して、その人の生活と最期までを支える歯科医院」である、ということです。
私たちは開院当初から訪問歯科診療に力を入れてきました。
ご高齢で外出が困難な方、脳卒中や神経難病で飲み込みが弱くなった方、がんや心不全などで体力が落ちてきた方。
そうした方々のご自宅や施設を訪ね、「もう一度口から食べたい」「誤嚥性肺炎を防ぎたい」「入れ歯が合わずにつらい」という声に向き合ってきました。
しかし在宅医療の現場では、歯科だけでは解決できない課題が数多くあります。
医師、看護師、ケアマネジャー、訪問介護、訪問看護、管理栄養士、言語聴覚士。
多職種が連携してこそ、「その人らしく生きる」ことが支えられます。
在宅支援歯科診療所とは、まさにその医療チームの一員として、歯科が責任をもって関わることを国が認めた制度です。
口の問題は、命に直結する
訪問診療でよく出会うのが、「食べられなくなった」という訴えです。
入れ歯が合わない、口が乾く、むせる、食べ物が口の中に残る。
こうした口腔のトラブルは、単なる「不便」ではありません。
噛めないことで食事量が減り、低栄養になります。
飲み込みにくくなることで、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。
口の中が汚れると、肺に細菌が入りやすくなります。
つまり、口の状態はそのまま全身の健康と生存に直結しているのです。
それにもかかわらず、在宅医療の現場では、歯科が十分に関われていないケースが少なくありませんでした。
「もう歯医者には行けないから仕方ない」
「入れ歯は我慢するしかない」
そんな言葉を、私たちは何度も耳にしてきました。
私たちはその現状を変えたいと思っています。
通えなくなったら終わり、ではなく、通えなくなってからこそ歯科の出番がある。
それが、たのしみ歯科の原点です。
「食べたい」を、チームで支える
たのしみ歯科では、訪問診療の際に、単に歯や入れ歯を見るだけではありません。
必要に応じて嚥下内視鏡(VE)を用い、飲み込みの状態を評価します。
管理栄養士と連携して、食事形態や栄養状態を検討します。
医師や看護師と情報を共有し、全身状態を踏まえて方針を決めます。
たとえば、胃ろうを造設された方でも、口から少しずつ食べられるケースは少なくありません。
逆に、無理に食べることで肺炎を繰り返してしまう方もいます。
「食べるか、やめるか」という単純な二択ではなく、
その人にとって、今、どんな食べ方が一番幸せかを、チームで考えていきます。
その中心に「口」があり、「歯科」があります。
地域の「食べる」を守る歯科へ
在宅支援歯科診療所として認定されたことは、ゴールではなくスタートです。
これからは、より一層、地域の医療機関・介護事業所と連携し、
「食べる」「話す」「笑う」といった人間の根幹を支える役割を果たしていきたいと考えています。
高齢になっても、病気があっても、
「最期まで口から食べたい」
その当たり前の願いを、当たり前に支えられる地域でありたい。
たのしみ歯科は、これからも訪問診療を通じて、
ご自宅や施設で暮らす方々の「たのしみ」を、口から支えていきます。