地域で支える「食べる」と「暮らす」|訪問歯科診療に対応|たのしみ歯科|板橋区高島平の歯医者・小児歯科・口腔外科

〒175-0082東京都板橋区高島平3-12-6 2F

080-4470-6052

お問い合わせ
ごはんがたのしみ。歯科ヘッダー画像

地域で支える「食べる」と「暮らす」

地域で支える「食べる」と「暮らす」|訪問歯科診療に対応|たのしみ歯科|板橋区高島平の歯医者・小児歯科・口腔外科

2026年9月15日

地域で支える「食べる」と「暮らす」

第31回 在宅療養ネットワーク懇話会に参加して

先日、板橋区立文化会館で開催された「第31回 在宅療養ネットワーク懇話会」に参加しました。

今回のテーマは、
「在宅療養を支える多職種連携とICT活用」

在宅療養を支える医師、歯科医師、看護師、ケアマネジャー、介護職、薬剤師、リハビリテーション職、行政など、地域に関わるさまざまな職種が集まり、講演や意見交換を通じて、これからの地域連携について考える機会となりました。

私たちが訪問歯科診療を行う中でも、日々強く感じているのが、一つの職種、一つの医療機関だけでは、在宅療養を支えきれないということです。

「歯を治す」「入れ歯を作る」「口腔ケアを行う」といった歯科医療はもちろん大切です。しかし、在宅で暮らす患者さんの生活を本当に支えるためには、その先にある「食べる」「話す」「人と会う」「自宅で暮らし続ける」という生活そのものを見る必要があります。

そして、その生活を支えるためには、多職種が同じ方向を向き、情報を共有しながら関わることが欠かせません。

在宅療養は「医療」だけでは成り立たない

病院では、多くの医療職が同じ建物の中で働いています。

一方、在宅療養では、患者さんの周りに関わる専門職が、それぞれ異なる場所で活動しています。

訪問診療の医師。
訪問看護師。
ケアマネジャー。
訪問介護員。
薬剤師。
リハビリテーション職。
そして訪問歯科。

患者さんやご家族を中心に、多くの人が関わっています。

しかし、それぞれが専門性を発揮していても、情報が十分につながっていなければ、支援が「点」になってしまうことがあります。

例えば、訪問歯科で「最近、食事量が減っている」と気づいたとします。

その背景には、義歯の不具合があるかもしれません。口腔内の痛みがあるかもしれません。あるいは、嚥下機能の低下、低栄養、薬剤の影響、全身状態の変化など、さまざまな原因が考えられます。

歯科だけで原因を探すのではなく、

「最近、体重は減っていないか」
「発熱や肺炎はなかったか」
「食事中にむせることが増えていないか」
「姿勢は安定しているか」
「介護する方が食事介助に困っていないか」

といった情報を多職種で共有することで、初めて患者さんの状態が立体的に見えてきます。

在宅療養における連携とは、単に「情報を伝えること」ではありません。

それぞれが見ている患者さんの姿を持ち寄り、一人の患者さんの生活をみんなで理解していくこと。

それが地域連携の大切な役割なのだと思います。

「食べられない」は、歯科だけの問題ではない

たのしみ歯科では、訪問歯科診療や摂食嚥下への支援を通じて、「食べること」を支える医療に取り組んでいます。

しかし、食べることは非常に複雑です。

歯があれば食べられるわけではありません。
入れ歯を作れば食べられるわけでもありません。

食べるためには、口腔の状態だけでなく、全身の体力、姿勢、嚥下機能、栄養状態、認知機能、介助方法、食事の形態、生活環境など、多くの要素が関係しています。

例えば、歯科で義歯を調整し、「噛める状態」になったとしても、食事中の姿勢が崩れていれば、十分に食べられないことがあります。

嚥下機能に合った食事形態になっていなければ、むせや誤嚥の原因になることもあります。

食べる力が低下している患者さんにとっては、口腔の問題だけを改善するのではなく、栄養やリハビリテーション、介護との連携が必要になります。

だからこそ、「食べること」を支えることは、歯科単独の取り組みではなく、まさに多職種連携そのものだと感じています。

地域ケア会議のように、それぞれの視点を持ち寄る

今回の懇話会では、講演だけでなく、グループワークによる意見交換の時間も設けられていました。

地域で活動するさまざまな職種が、それぞれの立場から現状の課題を共有し、意見を交わす。

こうした場は、地域ケア会議にも通じる大切な意味を持っていると感じます。

地域ケア会議では、一人の患者さんや地域の課題について、多職種がそれぞれの専門的な視点を持ち寄ります。

医師には医師に見えることがあります。

看護師には、日々の生活の中で見えてくる変化があります。

ケアマネジャーには、介護サービスや家族の状況を含めた生活全体が見えています。

介護職には、食事や排泄、移動など、最も身近な生活の変化が見えています。

そして歯科には、口腔の状態や「食べる機能」から見える変化があります。

どの視点が正しい、どの職種が中心ということではありません。

それぞれの視点を重ね合わせることで、一人では見えなかった患者さんの姿が見えてくる。

これこそが、多職種で関わる意味なのではないでしょうか。

ICTは「連携の目的」ではなく「連携を支える手段」

今回のテーマの一つであったICT活用についても、これからの在宅療養を考える上で非常に重要なテーマです。

在宅医療・介護では、関係者が同じ場所に集まることが難しいという特徴があります。

そのため、患者さんの状態変化や日常の気づきを、いかに必要な人に、必要なタイミングで共有できるかが重要になります。

電話やFAX、紙の連絡帳だけでは、情報共有に時間がかかることもあります。

ICTを活用することで、必要な情報をより迅速に共有し、多職種が患者さんの状態を把握しやすくなる可能性があります。

しかし、ICTを導入すること自体が目的ではありません。

大切なのは、「誰に、どの情報を、どのように伝えることが患者さんのためになるのか」という視点です。

便利なシステムがあっても、必要な情報が共有されなければ意味がありません。

反対に、シンプルな方法であっても、日頃から顔の見える関係があり、「何かあったら相談できる」という信頼関係があれば、連携は大きく前進します。

ICTは人と人との関係を代替するものではなく、より良い連携を支えるための道具なのだと思います。

「顔の見える関係」が地域連携の土台になる

地域で仕事をしていると、制度や仕組みだけでは解決できないことが数多くあります。

「この患者さんのことで少し相談したい」

「最近、食べられなくなってきたので一度見てほしい」

「退院後の生活について、歯科にも関わってもらえないだろうか」

こうした何気ない相談ができるかどうかは、日頃からの関係性によって大きく変わります。

今回のような懇話会や勉強会は、知識を学ぶだけの場ではありません。

普段は電話やICTの画面越しにしかやり取りをしていない方と直接会い、話をし、お互いの考えや活動を知る。

「こんなことで困ったときは、この人に相談できる」

そうした顔の見える関係をつくることも、地域連携において非常に大切だと感じています。

たのしみ歯科でも、板橋区医師会病院との医科歯科連携や、介護施設でのミールラウンド、地域の勉強会などを通じて、少しずつ地域の皆さんとのつながりを広げています。

こうした取り組みの一つひとつが、将来、患者さんの「困った」を解決するための大切なネットワークになると考えています。

地域の中で、歯科にできることを考える

在宅療養において、歯科はまだ十分に活用されていない場面もあります。

「歯が痛くなったら歯医者を呼ぶ」

「入れ歯が壊れたら相談する」

訪問歯科に対して、そのようなイメージを持つ方も少なくありません。

もちろん、それも訪問歯科の大切な役割です。

しかし、私たちが地域の中で担える役割は、それだけではありません。

口腔ケアによる感染予防。
義歯による咀嚼機能の回復。
摂食嚥下機能の評価。
食事姿勢や食具への助言。
食形態についての多職種との検討。
低栄養の早期発見。
誤嚥性肺炎を繰り返す患者さんへの支援。

歯科がもっと早い段階から関わることで、「食べられなくなってから対応する」のではなく、「食べ続けられるように支える」ことができるかもしれません。

だからこそ、地域ケア会議や多職種の集まる場に歯科が参加し、歯科から見える視点を伝えていくことが重要だと考えています。

「住み慣れた地域で暮らし続ける」を支えるために

在宅療養を支えるということは、医療を自宅に届けるだけではありません。

患者さんが住み慣れた地域で、自分らしい生活を続けられるように支えることです。

その中には、「食べること」もあります。

好きなものを食べること。
家族と食卓を囲むこと。
誰かと「おいしいね」と話すこと。

私たちにとって当たり前のことが、病気や加齢によって少しずつ難しくなることがあります。

だからこそ、その変化に早く気づき、多職種で力を合わせることが大切です。

今回の在宅療養ネットワーク懇話会への参加を通じて、改めて感じたのは、地域医療は一つの職種や一つの医療機関だけでつくるものではないということです。

それぞれが専門性を持ちながら、お互いを知り、相談し、必要なときに力を合わせる。

その積み重ねが、地域で暮らす一人ひとりの安心につながっていくのだと思います。

たのしみ歯科も、歯科という立場から地域の多職種連携に積極的に関わりながら、「ごはんがたのしみな毎日」を支えていきたいと考えています。

これからも、地域の皆さんの想いを聞き、多職種の皆さんと学び合いながら、地域の想いの「半歩先」を歩く医療を目指していきます。

Page Top