2026年9月22日

訪問歯科診療というと、歯科医師や歯科衛生士が患者さんのご自宅や介護施設を訪問し、お口の中を診る仕事というイメージを持つ方が多いかもしれません。
しかし、実際の訪問診療は、人の力だけで成り立っているわけではありません。
訪問車、ポータブルレントゲン、口腔ケア用品、摂食嚥下機能を評価するための機器。そして、訪問先でも歯科診療を行うためのポータブルユニット。
今回は、「たのしみ歯科を支えるなかまたち」の一つとして、私たちが訪問診療で使用しているポータブルユニットについてご紹介します。
患者さんが歯科医院へ来ることが難しい場合、私たちが患者さんのもとへ伺います。
そのとき、歯科医院にある設備をすべて持って行くことはできません。限られた機材の中で、安全に、そして必要な歯科医療を提供するために欠かせない存在が、ポータブルユニットです。
私たちにとってポータブルユニットは、単なる「機械」ではありません。
毎日、訪問車に乗り込み、患者さんのもとへ一緒に向かう、大切な「なかま」の一人なのです。
訪問先には歯科医院の診療室がありません
歯科医院では、診療室に入れば必要な設備がそろっています。
診療用のチェアがあり、照明があり、水やエアーが使えます。歯を削るための機器や口腔内を清掃するための機器、吸引装置なども、すぐに使用できる環境が整っています。
一方で、訪問歯科診療の現場はまったく異なります。
患者さんのご自宅。
施設の居室。
ベッドサイド。
車椅子の横。
時にはリビングの一角。
そこには当然、歯科医院のような診療設備はありません。
だからこそ、私たちは患者さんの生活の場に必要な機材を持ち込み、その場に合わせて診療環境をつくります。
患者さんの体調や姿勢、周囲の環境を確認しながら、限られたスペースの中で診療を行う。
それが訪問歯科診療です。
ポータブルユニットは、そのような環境の中で、歯科診療を支えてくれる大切な存在です。
いわば、患者さんのもとへ運ぶ、小さな診療室のような役割を担っています。
小さなボディに詰まった診療の力
たのしみ歯科で使用しているポータブルユニット「かれんEZ+」には、訪問先で歯科診療を行うために必要なさまざまな機能が備わっています。
虫歯の治療や義歯の調整、口腔内のケアなど、訪問先で必要となる処置を行うために、私たちを支えてくれています。
しかし、ポータブルユニットの役割は、「歯を削る」ことだけではありません。
例えば、長い間歯科医院へ通うことができず、お口の中に汚れがたまっている患者さん。
入れ歯が合わなくなり、食事がしづらくなっている患者さん。
お口の中の状態が悪化し、口腔ケアが必要になっている患者さん。
訪問先では、一人ひとり異なる状態に合わせた診療が必要になります。
そのため、「今日は何をするのか」によって、準備する器材も変わります。
私たちは訪問前に患者さんの情報を確認し、その日の診療に必要なものを準備します。
そしてポータブルユニットも、必要な歯科医療を患者さんのもとへ届けるために、一緒に訪問車へ乗り込みます。
「持って行く」ことも訪問歯科の大切な仕事
訪問歯科診療では、患者さんの前で診療を始める前から仕事が始まっています。
必要な器材を確認する。
診療内容に合わせて材料を準備する。
機材を車に積み込む。
訪問先へ安全に運ぶ。
到着したら、診療ができる環境を整える。
歯科医院であれば、「あれが必要」と思ったとき、診療室の棚から取り出すことができます。
しかし、訪問先ではそうはいきません。
忘れ物があれば、すぐに取りに戻ることもできません。
だからこそ、訪問歯科では準備がとても重要です。
そして、一日の訪問件数が増えれば、機材の移動も何度も繰り返されます。
朝、車に積み込む。
患者さんのお宅まで運ぶ。
診療後に片付ける。
また車に戻す。
そして次の患者さんのもとへ。
ポータブルユニットは、その名の通り、私たちと一緒に「訪問」しています。
患者さんの前では診療を支え、診療が終われば、また次の場所へ向かいます。
一日の中で何度も移動しながら、たのしみ歯科の訪問診療を支えてくれているのです。
患者さんの状態に合わせた診療を支える
訪問歯科診療では、歯科医院と同じような姿勢で診療できるとは限りません。
ベッドで過ごしている患者さん。
車椅子に座っている患者さん。
身体を大きく動かすことが難しい患者さん。
長時間同じ姿勢を保つことが難しい患者さん。
一人ひとりの状態に合わせて、診療の方法を考える必要があります。
特に、高齢の患者さんや摂食嚥下機能が低下している患者さんでは、診療中の姿勢や水分の扱いにも十分な注意が必要です。
「治療をすること」だけを考えるのではなく、
無理な姿勢になっていないか。
疲れていないか。
苦しくなっていないか。
途中で休憩が必要ではないか。
そうしたことを確認しながら診療を進めます。
訪問歯科では、患者さんの生活の場に私たちが入らせていただきます。
そのため、歯科医療の技術だけでなく、その方の生活や身体の状態に合わせることも大切です。
ポータブルユニットは、そうした訪問診療ならではの環境の中で、私たちの診療を支えてくれています。
見えないところにも、多くの仕事があります
患者さんから見ると、訪問歯科診療は、歯科医師や歯科衛生士がお口の中を診ている時間が中心です。
しかし、その診療の背景には、多くの準備があります。
器材の清掃。
消毒や滅菌。
材料の補充。
機器の点検。
訪問前の準備。
そして、診療後の片付け。
ポータブルユニットも、毎日使えば、それだけ管理が必要になります。
いつでも安全に使用できる状態を保つためには、日々の確認やメンテナンスが欠かせません。
診療で使う道具は、患者さんの前に出るときだけ役割を果たしているわけではありません。
次の診療でも安心して使えるように、スタッフが準備し、管理し、整える。
こうした「見えない仕事」があって、初めて安定した訪問診療が続けられます。
医療は、歯科医師や歯科衛生士だけで成り立っているわけではありません。
診療を支えるスタッフ。
準備された器材。
整えられた環境。
そして、それぞれの役割を果たす機器。
たくさんの支えが重なって、患者さんのもとへ医療を届けています。
「食べること」を支えるために
たのしみ歯科では、訪問歯科診療を通じて、虫歯や歯周病の治療だけでなく、「食べること」を大切にした歯科医療を行っています。
「以前より食べる量が減った」
「入れ歯が合わなくなって、硬いものを食べなくなった」
「食事中にむせることが増えた」
「お口の中をきれいにして、少しでも気持ちよく食事をしてほしい」
患者さんやご家族から、さまざまな相談をいただきます。
食べることは、歯だけの問題ではありません。
口腔の状態。
入れ歯。
舌や頬の動き。
飲み込む力。
姿勢。
全身の体力。
栄養状態。
さまざまなことが関係しています。
だからこそ、私たちは患者さんのお口だけを見るのではなく、その方がどのように生活し、どのように食事をしているのかも大切にしています。
必要に応じて、多職種の皆さんとも連携しながら、その方にとってより良い方法を考えていきます。
そのような診療の現場でも、ポータブルユニットをはじめとする「なかまたち」が、私たちを支えてくれています。
たのしみ歯科を支える「なかまたち」
たのしみ歯科の訪問診療は、スタッフだけでつくられているわけではありません。
毎日地域を走る訪問車。
診療に必要な器材。
患者さんの状態を確認するための機器。
そして、訪問先で歯科診療を支えるポータブルユニット。
それぞれが役割を持ちながら、私たちと一緒に患者さんのもとへ向かっています。
機械は言葉を話しません。
けれど、毎日の診療を振り返ると、そこには必ず私たちの仕事を支えてくれている「なかまたち」の存在があります。
朝、車に積み込まれ。
患者さんのもとへ運ばれ。
診療を支え。
また次の患者さんのもとへ向かう。
そんな毎日の繰り返しの中で、ポータブルユニットは静かに、しかし確実に、たのしみ歯科の訪問診療を支えてくれています。
患者さんの「いつもの場所」へ
訪問歯科診療の大きな特徴は、患者さんに歯科医院まで来ていただくのではなく、私たちが患者さんの生活の場へ伺うことです。
そこには、その方の「いつもの生活」があります。
いつも座っている椅子。
いつも眠っているベッド。
家族と過ごすリビング。
長年暮らしてきた自宅。
介護スタッフや仲間と過ごす施設。
私たちは、その場所に伺い、必要な歯科医療を届けます。
「歯科医院へ行けないから、治療ができない」
「通院が難しいから、お口のことをあきらめている」
そんな方にも、必要な歯科医療を届けたい。
そのために、私たちは今日も訪問車に必要な器材を積み込みます。
ポータブルユニットも、その大切な「なかま」の一つです。
小さな機械の中には、訪問先で歯科診療を行うための機能だけでなく、患者さんのもとへ医療を届けるための想いも詰まっているように感じます。
これからも、たのしみ歯科は、スタッフだけでなく、たくさんの「なかまたち」とともに地域へ向かいます。
「ごはんがたのしみな毎日を、あなたと。」
その想いを大切にしながら、患者さんが住み慣れた場所で、少しでも安心して、そして「食べること」を楽しめる毎日を送れるように。
今日もまた、ポータブルユニットを訪問車に積み込み、次の患者さんのもとへ向かいます。