2026年8月10日

「最近、水を飲むとむせるようになった。」
「コップで飲むと、最後まで飲み切れない。」
「介護施設で専用のコップを勧められた。」
このような経験はありませんか。
飲み込みにくさ(嚥下障害)がある方にとって、食事だけでなく「水分を安全に飲むこと」はとても大切です。
実は、普段使っている普通のコップが飲みにくさの原因になっていることがあります。
今回は、訪問歯科診療や摂食嚥下リハビリテーションの現場でもよく使用される、鼻が当たらないように飲み口がカットされたコップについてご紹介します。
なぜ普通のコップは飲みにくいのでしょうか?
普通のコップで最後まで飲もうとすると、多くの人はコップを大きく傾けます。
すると自然と、
という姿勢になります。
健康な方であれば問題なく飲めますが、嚥下機能が低下している方では、この姿勢が飲み込みを難しくしてしまうことがあります。
上を向くと誤嚥しやすくなる理由
飲み込むときは、食べ物や飲み物が口から喉へ送られ、気管ではなく食道へ入る必要があります。
そのためには、
という複雑な動きが連携しています。
ところが首を反らせて上を向くと、
ことがあります。
特に脳卒中後やパーキンソン病、加齢による嚥下機能低下がある方では、この影響を受けやすくなります。
もちろん、すべての方に当てはまるわけではありませんが、顎を軽く引いた姿勢(軽い前屈位)のほうが安全に飲める方は少なくありません。
鼻が当たらないコップとは?
嚥下しやすいコップは、飲み口の一部が大きくカットされています。
一見すると不思議な形ですが、このカット部分に鼻が入ることで、
コップを大きく傾けなくても最後まで飲める
という特徴があります。
つまり、
ため、安全に飲みやすくなるのです。
訪問歯科や介護施設でも、飲み込みに不安のある方によく活用されています。
飲みやすさには姿勢も重要です
コップだけを変えても、姿勢が崩れていると十分な効果が得られないことがあります。
例えば、
このような姿勢を意識するだけでも、飲み込みやすさが変わることがあります。
ベッド上で飲む場合も、できるだけ身体を起こし、首が後ろへ反らないように調整することが大切です。
一度に飲む量も大切です
むせやすい方は、「たくさん飲もう」とするとかえって飲みにくくなることがあります。
専用のコップの中には、
ように設計されているものもあります。
一口量を調整することで、飲み込む準備がしやすくなり、誤嚥のリスクを減らせる場合があります。
ストローなら安心?
「ストローなら飲みやすそう」と思われる方もいますが、必ずしもそうとは限りません。
ストローは吸う力が必要で、一気に飲み物が口の中へ入ることがあります。
また、口の中に飲み物が急に流れ込むことで、かえってむせてしまう方もいます。
一方で、ストローの方が飲みやすい方もいます。
つまり、
その方の嚥下機能に合った方法を選ぶことが重要です。
飲み物の種類も影響します
水やお茶はサラサラしているため、喉へ流れ込むスピードが速く、むせやすいことがあります。
必要に応じて、
などを組み合わせることで、安全に水分補給できることがあります。
自己判断で濃いとろみを付けるのではなく、医師や歯科医師、言語聴覚士、管理栄養士などと相談しながら調整することが大切です。
たのしみ歯科では「飲める」を一緒に考えます
たのしみ歯科では、飲み込みにくさの原因を「年齢のせい」と片付けるのではなく、
まで含めて評価しています。
必要に応じて嚥下内視鏡検査(VE)を行い、「どの姿勢なら飲みやすいか」「どんなコップが合うか」「どのくらいの量なら安全か」といったことを確認し、ご本人やご家族、介護スタッフへ具体的にお伝えしています。
訪問歯科では、ご自宅や施設で実際に使っているコップを見ながらアドバイスすることも可能です。
毎日のコップが、毎日の安心につながります
誤嚥を防ぐためには、大がかりな医療機器だけが必要なわけではありません。
毎日使うコップを少し工夫するだけで、
ことがあります。
「最近よくむせる」
「最後まで飲み切れない」
「上を向いて飲んでいる」
そんな様子が気になったら、一度コップの形にも目を向けてみてください。
小さな工夫が、安全に「飲める」毎日につながるかもしれません。
たのしみ歯科では、摂食嚥下リハビリテーションや嚥下内視鏡検査(VE)を通して、お一人おひとりに合った「食べる・飲む」を多職種とともにサポートしています。
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