2026年5月18日

5月14日の「看護の日」です。たのしみ歯科は板橋区医師会病院の中庭で開催された看護の日の地域イベントに参加しました。
会場は病院入り口前。大きなテントを設置し、地域の皆さまが気軽に立ち寄れる健康相談の場を設置しました。
当日は天候にも恵まれ、多くの地域住民の方にご参加いただきました。通院の帰りや通りがかりに立ち寄ってくださる方、以前から気になっていて参加を楽しみにしてくださっていた方など、幅広い世代の方が足を止めてくださり、地域に開かれた医療の大切さを改めて感じる一日となりました。
さまざまな職種が集まった「健康の相談所」
イベントでは、病院スタッフによるさまざまな体験ブースが設けられました。
看護師さんのブースでは、身長・体重・血圧の測定が行われました。普段はなかなか測る機会がないという方も多く、「最近血圧を測っていなかったからちょうどよかった」「数字を見ると健康を意識するね」といった声が聞かれました。健康診断とは少し違い、気軽に会話しながら測定できる雰囲気がとても好評でした。
また、同じく看護師さんによるAED体験も実施されました。実際の機器を前に説明を受けながら操作を体験できる機会は貴重で、小さなお子さんからご高齢の方まで興味深そうに参加されていました。「見たことはあるけれど触ったのは初めて」「いざという時に少し安心」といった感想もあり、救急対応への関心の高さがうかがえました。
管理栄養士さんによる栄養相談も人気でした。食事のバランス、塩分のこと、高齢者の低栄養予防など、普段の生活に直結する相談内容が多く、皆さん真剣に耳を傾けていました。健康は病気になってから考えるものではなく、日々の暮らしの積み重ねから守られていくものだと実感させられます。
たのしみ歯科のブースにも多くの方が来場
たのしみ歯科もブースを設置し、歯科相談と口腔機能検査を行いました。特に印象的だったのは、「実は歯のことで悩んでいたけれど、歯医者さんに行くほどでもないと思っていた」「誰に相談したらいいかわからなかった」という方が想像以上に多くいらっしゃったことです。
歯やお口の悩みは、痛みが強くならない限り後回しにされがちです。しかし、「少しむせる」「飲み込みにくい」「話しにくくなった」「口が乾く」など、小さな変化の中に大切なサインが隠れていることがあります。今回のようなイベントでは、診療室とは違い、もっと気軽に話せる雰囲気があります。そのため、「こんなこと聞いていいのかな」と思っていた相談が自然に出てきやすいのかもしれません。
特に多くの方が興味を示されたのが、口腔機能検査の一つである「パタカラ」のチェックでした。
「パ」「タ」「カ」「ラ」とできるだけ早く発音してもらう簡単な検査ですが、口唇や舌の動き、発音の機能を知る目安になります。ご自身の発音の速さや動きを確認しながら、「こんな検査があるんですね」「おもしろい」「意外と難しい」と楽しそうに参加される方がたくさんいました。
オーラルフレイルという言葉も少しずつ知られるようになってきましたが、まだまだ一般には十分浸透しているとは言えません。だからこそ、こうした体験を通じて「お口の衰えも健康に関係するんだ」と知っていただくことが大切だと感じました。
健康を考える「きっかけ」を地域に届けたい
イベントを通して感じたのは、医療者が地域に出ていくことの意味です。
病院や診療所は、体調が悪くなってから行く場所と思われがちです。しかし、本当はもっと日常の延長線上にあっていいものだと思います。少し気になることを相談したり、自分の健康を見直すきっかけになったりする存在であれば、病気の早期発見や予防にもつながります。
今回のイベントでも、「今日は通りがかりだったけれど来てよかった」「歯のことを相談できて安心した」「家族にも教えたい」といった声が聞かれました。医療が地域の中で身近な存在になることで、相談のハードルはぐっと下がります。
たのしみ歯科としても、診療室の中だけでなく、地域の中で皆さまの生活に寄り添える存在でありたいと考えています。外来診療や訪問診療に加えて、このような地域イベントの機会を今後も増やしていきたいと思っています。
実は「災害時」の大切な訓練でもあります
このイベントには、もう一つ大切な意味があります。それは災害時への備えです。
今回設置したテントは、単なるイベント用のものではありません。実際に災害が発生した際には、この同じテントを使って仮設の救護施設を設置する想定になっています。地域医療を担う病院として、万が一の時に迅速に対応できるよう、日頃から準備が行われています。
そのため、イベント当日も実際にテントを組み立てながら、設置方法の確認や備品の状態確認が行われました。支柱に異常がないか、シートに破れがないか、必要なスペースが確保できるかなど、細かな点までチェックされます。
普段は何気なく見えるこうした作業も、いざという時にはとても重要です。災害は起きないことが一番ですが、起きた時に備えて訓練しておくことが地域医療には欠かせません。
訪問診療で培った経験を災害時にも
たのしみ歯科は日頃から訪問診療に取り組んでいます。ご自宅や施設に伺い、通院が難しい方のお口のケアや治療を行っています。その中で培ってきたのは、限られた環境でも必要な医療を届ける力です。
訪問先では、診療室のように十分な設備が整っているとは限りません。限られた器材の中で工夫しながら、安全に診療を行う必要があります。また、患者さんご本人だけでなく、ご家族や介護職、医療職との連携も欠かせません。
こうした経験は、災害時にも必ず生かされると考えています。
避難所や仮設救護所では、平常時の医療体制とは大きく異なります。移動が難しい方や食事がとりにくくなる方、お口のケアが不足しやすい方も増えます。特に高齢者では、お口の清潔や食べる機能が保てないことで、体調悪化や誤嚥性肺炎につながることもあります。
だからこそ、歯科も災害医療の一員として役割があります。
食べることを支えること、口腔ケアを通じて全身状態を守ること、不安な時に相談できる存在であること。たのしみ歯科も、地域の一員としてその役割を果たしていきたいと思っています。
地域の安心を支えるために
今回の看護の日イベントは、単なる健康チェックの場ではありませんでした。地域の皆さまが健康について考えるきっかけとなり、医療者とつながる場となり、さらに災害時への備えにもつながる、とても意味のある時間でした。
普段は気づかない小さな不安や悩みも、話してみることで安心につながることがあります。歯のこと、お口のこと、食べること。どれも日々の生活に深く関わる大切なことです。
たのしみ歯科は、これからも地域の皆さまにとって「困った時に思い出してもらえる場所」でありたいと考えています。こうした取り組みを通じて診療室だけでなく、地域のさまざまな場面で皆さまと出会い、地域の安心につなげていったり、健康を一緒に考えていければ嬉しく思います。


