夏の脱水対策。水分は「とればいい」だけではありません|訪問歯科診療に対応|たのしみ歯科|板橋区高島平の歯医者・小児歯科・口腔外科

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夏の脱水対策。水分は「とればいい」だけではありません

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2026年7月23日

夏の脱水対策。水分は「とればいい」だけではありません

〜誤嚥を防ぎながら、安全に水分をとるために〜

暑い夏がやってくると、ニュースや健康情報で「こまめに水分をとりましょう」という言葉をよく耳にします。

汗をかくことで体から水分が失われる夏は、脱水に注意が必要です。特に高齢の方は、若い人に比べて体の中に蓄えられている水分量が少なく、喉の渇きを感じにくくなることもあります。

「喉が渇いていないから大丈夫」と思っているうちに、少しずつ脱水が進んでしまうこともあります。

一方で、私たちが日々の診療で出会う方の中には、

「水分を飲むとむせる」

「お茶でむせるようになった」

「水を飲むのが怖い」

「むせるから、あまり飲まないようにしている」

という方も少なくありません。

つまり、脱水対策は単純に「たくさん飲めばよい」という話ではありません。

大切なのは、

“必要な水分を、できるだけ安全にとること”

です。

今回は、夏の脱水対策と、誤嚥を防ぎながら水分をとるためのポイントについてお話しします。

脱水とは?

脱水とは、体の中の水分が不足した状態です。

私たちの体は、体温を調整したり、血液を循環させたり、栄養を運んだり、老廃物を排出したりするために、水分を必要としています。

夏は気温が高く、汗をかきます。

汗をかくと、体から水分だけでなく、ナトリウムなどの電解質も失われます。そのため、暑い環境に長時間いると、体内の水分バランスが崩れやすくなります。

脱水になると、

などの症状がみられることがあります。

高齢者では、脱水によって体調を崩し、転倒や意識障害などにつながることもあります。

しかし、高齢者の脱水で難しいのは、本人が「喉が渇いた」と感じにくいことがあるという点です。

そのため、「喉が渇いたら飲む」という方法だけでは、十分な水分がとれない場合があります。

高齢者はなぜ脱水になりやすいのでしょうか?

高齢者が脱水になりやすい理由はいくつかあります。

① 体の中の水分量が少ない

年齢とともに、体の中の水分量は少なくなる傾向があります。

若い頃と同じように生活していても、体に蓄えられる水分が少ないため、脱水になりやすくなります。

② 喉の渇きを感じにくい

脱水になると、通常は「喉が渇いた」と感じて水分をとります。

しかし、高齢者では喉の渇きを感じる感覚が低下していることがあります。

「水分をとってください」と声をかけても、

「別に喉は渇いていないよ」

と答える方もいます。

しかし、喉が渇いていなくても、体の中では水分が不足している可能性があります。

③ トイレを気にして水分を控える

「トイレが近くなるのが嫌」

「夜中にトイレに行きたくない」

「介助してもらうのが申し訳ない」

このような理由から、水分を控えてしまう方もいます。

しかし、水分を控えすぎることは脱水のリスクを高めます。

④ 飲み込みにくさがある

そして、特に重要なのが「飲み込みの問題」です。

水分を飲むとむせる。

そのため、本人もご家族も、

「むせるから飲ませない」

「水分を控えたほうが安全」

と考えてしまうことがあります。

しかし、水分を控えることで脱水になり、さらに体力や食欲が低下するという悪循環につながることがあります。

水分はなぜむせやすいのでしょうか?

「水はサラサラしていて飲みやすい」と思う方も多いかもしれません。

しかし、飲み込みの機能が低下している方にとって、水のようにサラサラした液体は、実はむせやすいことがあります。

液体は流れるスピードが速いため、口から喉へ一気に流れ込みます。

飲み込む準備が整う前に液体が喉に到達すると、気管に入ってしまうことがあります。

これが「誤嚥」です。

特に、

といった場合には、液体を安全に飲み込むことが難しくなることがあります。

むせるからといって、すぐに「とろみ」ではありません

水分でむせる場合、「とろみをつければよいのでは?」と考える方もいるかもしれません。

確かに、とろみをつけることで液体の流れるスピードを調整し、飲み込みやすくなる場合があります。

しかし、すべての人にとろみが必要なわけではありません。

また、とろみが強すぎると、

といったこともあります。

重要なのは、

「むせるから、とりあえずとろみ」ではなく、その人に合った水分の形を考えること

です。

水分でむせる方には、飲み込みの状態を確認し、

などを総合的に考える必要があります。

安全に水分をとるための5つのポイント

 一度にたくさん飲まない

「水分をとらなければ」と思うと、一度にたくさん飲もうとしてしまうことがあります。

しかし、飲み込みに不安がある方にとって、一度に大量の水分が口に入ることは、むせる原因になります。

大切なのは、

少量ずつ、ゆっくり

です。

コップいっぱいの水を一気に飲むのではなく、少しずつ口に含み、飲み込んだことを確認してから次の一口に進みます。

介助する場合も、次々と口に入れるのではなく、

「飲み込めたかな?」

と確認することが大切です。

 姿勢を整える

水分を飲むときの姿勢も重要です。

基本的には、できるだけ体を起こして飲みます。

椅子に座る場合は、

ことを確認します。

ベッド上で飲む場合も、できるだけ上半身を起こします。

寝たままの姿勢で水分を飲むと、飲み込む準備が整いにくく、誤嚥のリスクが高くなることがあります。

また、飲み終わった直後にすぐ横になるのではなく、可能であればしばらく上体を起こしておくことも大切です。

 「上を向いて飲む」は避ける

コップの水を飲むとき、顎を上げて上を向くようにして飲む方がいます。

しかし、飲み込みに不安がある方では、首を大きく反らすことで、液体が喉に流れ込みやすくなる場合があります。

特に、ペットボトルを上向きにして飲む場合や、寝たまま水分をとる場合には注意が必要です。

無理に上を向かず、自然な姿勢で飲むことを意識しましょう。

 飲み物の温度や味を工夫する

飲み込みやすさは、飲み物の温度や味によって変わることがあります。

冷たい飲み物のほうが飲み込みやすい方もいれば、常温のほうが飲みやすい方もいます。

また、水よりも、

のほうが飲みやすい方もいます。

ただし、味噌汁やスープなどは塩分量に注意が必要です。

また、糖分の多い飲料を大量に飲むことがよいとは限りません。

大切なのは、「この飲み物が正解」と決めつけるのではなく、その人が安全に、無理なく、必要な量をとれる方法を考えることです。

 食事からも水分をとる

水分は、飲み物だけからとるものではありません。

食事にも多くの水分が含まれています。

例えば、

などにも水分が含まれています。

飲み物でむせやすい方でも、食事やゼリーなどの形であれば摂取しやすい場合があります。

「飲み物が飲めないから、水分がとれない」と考えるのではなく、

その人がどのような形なら安全に水分をとれるのか

を考えることが大切です。

経口補水液は誰でも飲めばよい?

脱水対策として、経口補水液を思い浮かべる方もいるでしょう。

経口補水液は、脱水状態において水分や電解質を補うためのものです。

しかし、普段の水分補給として、誰もが毎日たくさん飲むものではありません。

特に、持病や食事制限がある方は、使用について医師や薬剤師などに相談したほうがよい場合があります。

「暑いから経口補水液を飲む」というよりも、

発汗や下痢、嘔吐などによって脱水が疑われる場合に、適切に使用する

という考え方が大切です。

「むせていないから安全」とは限りません

ここで、もう一つ重要なことがあります。

それは、

むせていないから誤嚥していないとは限らない

ということです。

飲み込みの機能が低下すると、気管に入ったものを外に出す咳の力が弱くなることがあります。

また、喉の感覚が低下していると、気管に入っても「むせ」を感じないことがあります。

これを「不顕性誤嚥」といいます。

そのため、

といった変化がある場合には、注意が必要です。

夏に気をつけたい「水分不足のサイン」

本人が「喉が渇いた」と言わなくても、次のような変化がないか確認してみましょう。

特に高齢者では、「なんとなく元気がない」という変化が、脱水のサインであることもあります。

ご家族や介護者の方は、普段の様子と比べて変化がないかを見ておくことが大切です。

水分を「飲ませる」のではなく、「とれる環境」をつくる

水分補給というと、

「もっと飲んでください」

「水分をとりましょう」

と声をかけることを思い浮かべるかもしれません。

しかし、飲み込みにくさがある方にとっては、声をかけるだけでは十分ではありません。

例えば、

など、生活の中に水分をとるタイミングをつくることが大切です。

「喉が渇いたら飲む」のではなく、

喉が渇く前に、少しずつ水分をとる

ことを意識しましょう。

水分でむせる場合は、専門家に相談を

水分を飲むたびにむせる。

以前は飲めていた水が飲みにくくなった。

水分をとる量が明らかに減っている。

このような場合は、単純に「本人の努力が足りない」という問題ではありません。

飲み込みの機能が変化している可能性があります。

歯科では、口の中の状態だけでなく、舌の動きや口腔機能、食事や水分の飲み込みについて評価を行うことがあります。

必要に応じて、嚥下内視鏡検査(VE)などを用いて、実際にどのように飲み込んでいるのかを確認することもあります。

「どのくらいの量なら安全なのか」

「どのような飲み物が適しているのか」

「とろみは必要なのか」

「どのような姿勢がよいのか」

こうしたことは、一人ひとり異なります。

大切なのは、むせるから水分を減らすことではなく、安全に水分をとる方法を見つけることです。

まとめ

夏の脱水対策で大切なのは、「たくさん飲む」ことだけではありません。

必要な水分を、できるだけ安全に、無理なくとること。

これが大切です。

特に高齢の方や、飲み込みに不安がある方では、

ことを意識しましょう。

「水分をとりましょう」という言葉の裏側には、

その人が、どのようにしたら安全に水分をとれるのか

という大切な視点があります。

暑い夏を元気に過ごすために。

そして、毎日の「ごはんがたのしみ」を守るために。

水分のとり方も、一人ひとりに合った方法を一緒に考えていきましょう。

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